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クマが食べる人体の部位とクマが攻撃する部位

ヒグマが人間を食べるとしたらどんな部位でしょう。
肉食動物は動物の内臓から食べるというイメージが一般的かもしれません。

牛を襲い続ける忍者ヒグマOSO18
標茶と厚岸町で牛食いグマが2019年~2022年にわたって多くの牛を襲撃しています。 前足幅が18cmもある巨大グマで最初の被害が

ヒグマはベジタリアン?

ヒグマは基本雑食性で、北海道のヒグマは7割以上植物性のものを食べています。
アリなどの昆虫や地域によってはシカ、シャケなどの動物質も食べます。

ヒグマが食べているものについては以下をご覧ください。

ヒグマの食べ物
ヒグマは雑食性で、ヒグマが利用する動植物は150種類以上もあります。 人身事故のイメージや、鮭を食べるイメージから肉食性と思われる

人間を食害するクマ

過去に人間や人間に関するもの(人間の残した残飯やジュースの空き缶など)との接触がないのに、初めて人間と遭遇し突如「そうだ。人間食べよう。」と思うクマはまれです。

クマが人間を食べるに至るパターン。

  1. 別の理由で人間を襲った(排除・戯れなど)
  2. 襲ってる最中に人間を食べ物とみなした
  3. あるいは人間を死亡させた後食べてみた

一度人間を食害してしまうと、次から人間を襲うヒグマになる可能性があります。
以下がその考えられる理由です。

  1. 植物より人肉に魅力を感じるようになった
  2. 人間への脅威が薄れた
  3. 他の人間もたやすく食べられると認識

クマは7割以上植物性のものを食べている個体が多いですが、元来肉食性です。
草本などに比べてシャケマス、鹿肉、アリなどの動物質に対する執着が強いのです。
これは人体にも当てはまるはずです。

クマは母親からすべてを学びます。父親は一切育児に関わりません。
その母親の教育次第ですが、人間も出入りするようなエリアに居住する母グマは「人間は怖いから近づいてはいけないわよ」と基本教えるはずです。

人間はおいしいから、バンバン殺してモリモリ食べなさい

と教えるヤバイ母がいれば、もっと積極的に若グマが人間を襲うでしょう。

ヒグマは基本人を食べるために襲うことはありません。
しかし別の理由で人間を襲い、一度人間を食害してしまうと話は別です。

なんだ、人間って意外と怖くないじゃないですか。

とヒグマに思われては大変。
一度人間を食害、あるいは襲ったクマが再度人を襲うのはよくあることです。

人間を食害した例

一度人間を食害あるいは負傷させ、その後も襲ったと考えられる例を挙げます。

  1. 1915 三毛別/オス成獣
  2. 1970 日高福岡大/メス若グマ
  3. 1976 千歳風不死岳/メス若グマ
  4. 1977 大成町/メス若グマ
  5. 1999 木古内町/オス若グマ
  6. 2013,2014 せたな町/オス成獣

食害のあった千歳風不死岳、大成町、木古内町の事件の詳細は以下の記事を参照ください。

被害者が多いヒグマの事件
同一個体(同じヒグマ)による死亡者、負傷者が多い事件をまとめてみました。 やはり被害者が多いのは開拓時代の苫前三毛別、沼田、札幌丘

日高福岡大は一人目を食害する前はザック目当てだったでしょう。
しかし、一人を食害してからは人体を狙った可能性も否めません。
三毛別も太田家の後に明景家に入ったときは明らかに食害目的です。
やはり数名を時間差で攻撃している個体は食害目的のものが多いでしょう。
ヒグマの学習能力の高さが裏目にでるパターンです。

しかし、すべてのクマが人を襲った後に食害するわけではありません。
人を襲撃した後も食痕がなく逃亡し行方をくらませたクマもたくさんいます。
母グマに多いのですが、子を守るために攻撃し人間が死亡し脅威がなくなった後は逃亡。

ヒグマが食べる人体の部位は

開拓時代などの古い時代は発見された時点では、ほぼ食べられてしまっていました。
近年は被害者の遺体が早く発見されるようになりました。
そのため、ヒグマに人体がすべて食べられることはないようです。

ヒグマが人体で主に食べる部位は筋部です。
大腿、上腕、臀部(尻)、顔面、顎、胸部、腹部などの筋部
あとは耳介、陰部などの突起部。
臓器の食害はあまりありません。

食べる順番は体幹部の筋肉部⇒内臓、四肢上部の筋肉部⇒肋骨などの細い骨⇒骨盤や四肢骨。
頭蓋骨は食べずに残すことが多いそうです。

参考文献はこちら。ヒグマの詳細について知りたい方はおススメです。

被害者は顔面に攻撃を受けることが多く、主な死因は脳挫傷や外傷性失血死などです。

日高福岡大の事件も被害者の3人は食害されていました。
動脈が切られていたそうです。

日高福岡大ヒグマ事件
1970(昭和45)年に日高山脈カムイエクウチカウシ山で起こった事件。 登山に行った福岡大ワンダーフォーゲル部のパーティがヒグマと

食害前には衣類や体毛を剥ぎ取ります。解剖後に胃から髪や衣類が出てくることもあります。
食害後は遺体を安全な場所に移動したり、草や土をかけて隠したりします。
自分の食料だとみなし、それを保持しようとしているのでしょう。

ヒグマは人体のどこを攻撃するか

被害を多く受ける部位は頭部や顔面で、頸部も多く攻撃されます。
腕や脚部も多く被害を受けており、腕はクマの攻撃からの防御で、脚はヒグマから逃亡する際に狙われた可能性が高いです。

ヒグマが狩猟者に対して攻撃を行う場合は顔面を執拗に攻撃するようです。

1999年5月木古内町での被害事例

1999年5/10、木古内町で釣りに行った男性がオス♂2歳3ヶ月の若グマに襲われ食害。
翌5/11、山菜採りに来た女性2名が同じ個体に襲われ重傷。
女性は林道を歩いていたところ、クマに突進され攻撃を受けました。
2人はそれぞれ頭部と頸部に攻撃を受け、重傷でした。
頭部に攻撃を受けた女性は皮膚の移植手術を受けたそうです。
加害グマは最初に殺害し食害した男性の遺体を自分の所有物とみなし、近くに来た女性2名を排除のため攻撃したと思われます。

2008年9月標津町での被害事例

2008年9/17の夜間にシャケを獲りに出かけた男性が闇の中でヒグマと遭遇。
シャケを獲っていたオスの個体に顔面を攻撃されました。
被害者は病院に行った翌日に死亡しましたが、顔面の損傷が激しかったそうです。
加害グマはオス♂の成獣でその後捕殺されましたが、400キロ近い巨グマだったそう。
加害グマはシャケを食べに来ていて、男性と遭遇。攻撃を仕かけたと思われます。

2010年5月帯広市での被害事例

2010年6月帯広市での山菜採り女性が殺された事件でも、女性は顔面を激しく損傷。
死因は脳挫傷で、ヒグマに咬まれたものとみられます。
加害グマは子を2頭連れた母♀グマで、被害者の遺体に食痕はありませんでした。
子グマを連れた母グマによる排除攻撃です。

ヒグマは獲物に執着する

ヒグマは斃し食害した獲物を土饅頭にして隠します。
食べきれなかった分は土中に隠して、また食べに戻って来るのです。

ヒグマは自分のものとみなした食料に執着する習性があります。
日高福岡大のメスグマはキスリングを、三毛別のオスグマは遺体を執拗に取り返しに来ました。
幌新沼田のクマも自分のエサの馬の側を人間が通ったため襲ったのではと言われています。

そのため、土饅頭に隠した食料を食べに戻ってきた加害グマを猟銃で打ち取るといった方法も取られています。

この方法が効かないモンスターヒグマもいます。
道東で2019年から60頭以上の牛を襲い続けている巨大忍者ヒグマOSO18は土饅頭を作らない上に、獲物(牛)に全く執着しません。

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