山菜採りでヒグマに襲われた被害者の死亡率がすごい
ヒグマの人身事故被害者の行動目的の中で死亡率が圧倒的に高いものがあります。
2000年以降で最も人身事故が多いのは10月。全体の3割を占めています。
しかし、ヒグマ人身事故の死亡率が最も高いのは10月ではありません。
※2000年以降のヒグマ駆除、狩猟以外での人身事故について書いています。
目次
山菜採りの死亡率は7割
上述のように人身事故が最も発生しているのは10月。
次いで4月、5月、9月、6月となっています。
しかし、死亡事故が最も多いのは山菜採りです。
2000年以降のヒグマ死亡事故のうち7割近くを占めている状態。
2000年以降のヒグマ駆除・狩猟者以外の人身事故は全部で35件。
負傷が22件、死亡事故が13件となっています。
その死亡事故の13件の内訳は以下。
- 山菜採り:9件
- キノコ採り:2件
- 釣り:1件
- 山林作業:1件
ヒグマによる人身死亡事故のうち山菜採りがいかに多いかお分かりいただけるかと思います。
9月、10月のヒグマによる人身事故
ヒグマ人身事故発生月の多い順に10月、4月、5月、9月、6月となっています。
9月も非常に多いことがわかります。
10月と9月の人身被害は一体どのようなものが多いのでしょうか。
2000年以降の9月、10月のヒグマ人身事故は14件。全35件のうち4割を占めます。
被害者の行動目的は以下。
- キノコ採り:7件
- シカ猟:2件
- 散歩:2件
- 果実採り:1件
- 釣り:1件
- 山林作業:1件
このうち死亡事故は3件。キノコ2件、釣り1件となっています。
人身事故14件のうち、死亡事故の割合は2割です。
4月、5、6月のヒグマによる人身事故
2000年以降の4月、5月、6月のヒグマ人身事故は15件。全35件のうち4割を占めます。
被害者の行動目的は、すべて山菜採りです。
全15件のうち、100%が山菜採りです。
そして死亡事故は9件。全15件のうち6割を占めます。
まとめますと、4~6月のヒグマ人身事故の被害者はすべて山菜採りで、そのうち6割の方が亡くなっているのです。
同じように事故が頻出する9月、10月の死亡率は2割。
4~6月は死亡率が6割ですべて山菜採り。
山菜採りでの死亡率がいかに高いかおわかりになると思います。
山菜採りの死亡事故を分析
山菜採りでの死亡事故は全9件。
山菜採り死亡事故の被害者について
被害者については以下のようになっています。
- 被害者の平均年齢:58歳
- 被害者の性別:男性6人、女性3人
- 山菜:タケノコ・カタクリ・ギョウジャニンニク(アイヌネギ)など
- 発生月:4月4件、5月3件、6月2件
山菜採り死亡事故の加害グマについて
加害グマが捕殺され、性別年齢がわかっているものは以下。
- 2001年5月札幌市南区:オス♂8歳体長190体重130
- 2008年4月北斗市:オス♂5歳体長120体重70
- 2013年4月せたな町:オス♂7歳体長200体重230
食痕は2に件ありました。残り1件にあったかは不明。
せたな町のオスは翌年も人を襲っています。
負傷事故で済み、その後別の場所で捕殺されました。
捕殺はされてないが、足跡などからわかったものは以下。
- 2001年4月白糠町:メス♀母
- 2010年6月帯広市:メス♀母
食痕は1件はなし。おそらくですがもう1件もないと思います。
母グマは襲撃後子供を連れて逃亡することが多いので。
残り4件は不明となっています。
※事件発生時の情報で書いているのでその後判明したものもあるかと思います。
最近は捕殺されなくてもDNAで性別など色々わかっています。
山菜採りでの死亡事故の加害グマに性別や年齢は関係なさそうです。
判明しているものはすべて成獣です。
若グマの方が不安定というイメージがありますが、はっきりと若グマとわかっている2000年以降のヒグマ人身事故では9%程度です。
襲撃理由は不意の遭遇での先制攻撃が多いのではないかと思います。
山菜採りの負傷事故を分析
山菜採りでの負傷事故は全6件。
山菜採り負傷事故の被害者について
被害者については以下のようになっています。
- 被害者の平均年齢:58歳
- 被害者の性別:男性5人、女性1人
- 山菜:アイヌネギ・ギョウジャニンニクなど
- 発生月:4月5件、5月1件
山菜採り負傷事故の加害グマについて
加害グマが捕殺され、性別年齢がわかっているものは以下。
- 2014年4月せたな町:オス♂7歳体長200体重230
2013年に山菜採りの女性を死亡させたオスの個体がまた人を襲っています。
捕殺はされてないが、足跡などからわかったものは以下。
- 2017年4月標茶町:メス♀母
- 2018年4月函館市:メス♀母
- 2018年4月中標津町:メス♀母
- 2020年5月滝上町:メス♀母
母以外にも子グマの足跡があるので母グマであることがわかります。
不明は1件。
母グマが子グマを守ろうとして攻撃した事件が多いですね。
たいての母グマは襲撃後、子グマを連れてその場から逃走します。
ヒグマによる山菜採りの人身事故をなくすために
単独での行動はやめましょう。
襲われている方はほとんどが単独行動をとっています。
やはり自分の存在を知らせることが重要だと思います。
詳細な情報がわかっているのは一部の事件なのですが、鳴り物を持っていても山菜をしゃがんで採取していて鳴らない状態であったり、沢のそばで採取していて水音にかきけされたり、襲われる直前は音を出していなかったりするケースが見受けられます。
定期的に音を出して自分の存在をヒグマに知らせましょう。
武器も携帯して行きましょう。
2013年4月の山菜採り男性が襲われた事故では、ハサミでヒグマを撃退しています。
武器や鳴り物は以下の記事に。