Yezo Brown Bear Lab

アイヌ民族博物館のヒグマ渡英、その後全頭安楽死

2018年3月に閉館したアイヌ民族博物館(白老ポロトコタン)で飼育されていたヒグマ4頭が、2018年8月にイギリスのヨークシャー野生動物公園に譲渡されました。

譲渡された4頭のヒグマ

当時譲渡されたヒグマは4頭

  1. リク(オス♂)
  2. カイ(オス♂)
  3. アム(オス♂)
  4. ハナコ(メス♀)

4頭は17~27歳と高齢のヒグマたち。

残念ながらアムはその後、重い関節疾患のために8月下旬に安楽死させられました。
アムの疾患は長年における狭いおりでの飼育環境が原因の可能性も。

外国人から批判が

これは2014年の白老ポロトコタンヒグマの動画。

このような狭いおりでの飼育が、近年外国人観光客の増加とともに批判されるように。
そして博物館の閉館もあり、イギリスのヨークシャー野生動物公園へ。
広々とした公園で悠々自適の老後を送ることになりました。

イギリスでは「とらわれの身」や「日本から救出」と報道されています。
確かに動物福祉(animal welfare)の進んだイギリスから見ると、狭いおりやコンクリートでの飼育は虐待に等しく感じられるのでしょう。

世界中の動物保護団体がこの救出のために協力し合ったそうです。

ヨークシャー野生動物公園

ヨークシャー野生動物公園(Yorkshire Wildlife Park)の動画。
タイトルは「Brown Bear Rescue from Japan to Yorkshire Wildlife Park」

この救出作戦のショートフィルムです。
白老で飼われていた状態から、公園に移動後の元気な姿も見られます。

狭いおりとは打って変わった素晴らしい環境ですね。
アムは残念でしたが、残りの3頭が幸せな老後を暮らせることを祈ります。
Thank you for the help!

4頭のその後は全頭安楽死

結論から言うと、全頭安楽死させられたようです。
BBCの記事を参考に書いてみます。

前述のようにアムは2018年8月に安楽死。
それ以外の3頭は以下のリストをご覧ください。

  1. カイ:2019年9月に安楽死
  2. リク:2019年10月に安楽死
  3. ハナコ:2019年10月19日に28歳で安楽死

記事ではイギリスに到着時カイとリクは17歳、アムとハナコは27歳と書いてあります。
クマ達は歯、関節、手足に問題があり、栄養状態も良くなく体重も軽かったようです。
ハナコは更に目や胃に問題があり、発作を起こしていたので安楽死させられたようです。

結論としてはイギリスに到着してすぐに1頭が安楽死、約1年後に3頭が安楽死。
長年の狭い檻の中での生活で慢性的な健康上の問題を抱えていた・・・
という感じで書いてありました。

野生動物公園が公開していた3頭の動画を見る限り、残った3頭は元気そうに見えました。
リクも2019年1月時点にワラをかき集めている動画がありましたが元気に見えます。
円山動物園の栄子は2011年から立てない状態で、2014年3月に41歳で安楽死させられましたが、リクは元気そうにワラをかき集めています。

日本とイギリスでは動物に安楽死を用いる段階に関する概念が違うのかもしれません。

クマ達は変形関節症を緩和するために注射を打ってもらったりしていたようです。
リクとカイは兄弟だったようで、日本では隣り合った狭い檻で別々に暮らしていましたが、イギリスでは広いスペースで一緒に遊んだり泳いだりすることもできたようです。
彼らの楽しそうな写真はネットで「Yorkshire wildlife park」プラス「kai」や「riku」、「brown bears」などで検索すると見ることができます。
ハナコはリクとカイと隣り合ったリハビリスペースで過ごしていたようです。

最大限の努力と治療を試みたけれど、「改善しなかった」「治療不可能」とみなされ安楽死になったとのこと。

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