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ヒグマの一年

ヒグマの一年

ヒグマは冬眠(冬ごもり)する生物です。
そのため実際に活動しているのは冬ごもり以外の約6~8ヶ月。
寒さ厳しく自然豊かな北海道で日本最大の哺乳動物はどんな生活をしているのでしょうか?

ヒグマはどんな一年を過ごしているの?

早い個体は11月20日頃から、遅い個体は12月20日くらいまでには冬ごもりに入ります。
そして、3~4月頃までの4~6ヶ月間ほど穴の中で絶食冬眠します。

メスは冬ごもり期間中の早ければ1月中旬、遅くとも2月下旬までには出産します。

ヒグマの一年

早ければ3月中旬に穴から出るヒグマもおり、遅い個体は5月上旬くらいに穴から出てきます。
冬ごもり明けの4月から6月までの期間は人身事故が大変多く発生しています。

ヒグマ人身事故発生月割合

1970年からの狩猟者以外の一般人の人身被害は半数以上が4~6月に起きています。
冬ごもり前の9月~10月の人身被害も多く、4~6月と9~10月を合わせるとこの期間に起きたヒグマとの事故は全体の8割にも及びます。

ヒグマの春(3月~5月)

冬眠明けのヒグマ親子

冬眠明けの活動期です。冬ごもり中絶食していたのでやわらかい草本類を好み、フキ、ザゼンソウ、セリ科の草本類をよく食べます。
4月~5月は山菜を採りに来た人間との人身事故が非常に多い時期です。
山菜採り中の不意の[遭遇]だけではなく、山菜が生えている場所とヒグマの餌場が重なることが多く、冬眠明けで飢えているヒグマが生きるために自分の餌場から人間を[排除]しようとすることもあります。

春のヒグマ人身事故

2000年以降は4月のみで人身事故の3割近くを占めており、その全てが山菜採りで被害にあっています。春の山菜採りと同様に、秋のキノコ採りでもヒグマとの事故が多いのですが、死亡率は山菜採りの方が高くなっています。死亡事件のうち6割超が山菜採りです。

山菜採りの事故での死亡率は圧倒的に高くなっています。

ヒグマが一年を通して食べているものに関する記事は以下をご覧ください。

ヒグマの食べ物
ヒグマは雑食性で、ヒグマが利用する動植物は150種類以上もあります。 人身事故のイメージや、鮭を食べるイメージから肉食性と思われる

ヒグマの夏(6月~8月)

6月から7月の初夏はヒグマの繁殖期で、オスがメスを求めて活動します。
繁殖期は子グマが親離れを開始しなわばりを求めて移動する時期で若いクマの行動範囲が広くなります。
春から引き続きフキやセリ科の草本を利用します。利用していた草本がなくなり、木の実が実るまでの端境期には農作物を荒らすクマも出ます。食べるものが限られる夏はヒグマにとって一番厳しい季節といえるでしょう。

夏のヒグマ人身事故

2000年以降はこの時期に人身事故はそれほど起きていませんが、1割以上は6月と8月に起きています。6月の死亡事故は山菜採りです。

ヒグマの秋(9月~11月)

冬ごもり前の活動期です。
冬眠期は絶食で穴の中で暮らすので、冬眠前に栄養と脂肪を蓄えるためにたくさんの食物を食べます。体重の3割ほどが脂肪になります。
ミズナラの堅果(ドングリ)やクルミ、サルナシ、山ブドウ、ナナカマド、コケモモ、ウド、タラなどを利用し、サケ、マスが遡上する地域にいる個体はサケを捕食します。
この時期もキノコ狩りやヤマブドウ狩りに来た人間との事故が多くなっています。

秋のヒグマ人身事故

2000年以降は9月と10月がヒグマ人身事故数の3位と1位で、全人身事故の4割以上を占めています。10月の事故のうちキノコ採りが5割を占めています。全死亡事件(12件)のうち2件がキノコ、8件が山菜採りです。キノコよりも山菜採りの方が死亡率がかなり高いです。
全負傷事件(19件)のうち、5件がキノコ、5件が山菜です。

1日8時間くらい食べ続けるときもあるよ!

ヒグマの冬(12月~2月)

11月下旬から12月下旬までには多くのヒグマが冬ごもり(冬眠)に入ります。
冬ごもりの間は山の斜面などに掘った穴にこもり、基本絶食、無排泄で過ごします。
妊娠中のメスは冬ごもり中の1月~2月に穴の中で1~3匹の子グマを出産し、親ばなれ前の子グマは母グマと一緒に冬ごもりします。
2000年以前は2件ほど2月に人身事故がありましたが、2000年以降はこの時期に人身事故は起きていませんでした。

冬のヒグマ人身事故

2015年の1月と2月に立て続けに、山林作業中に冬ごもり中のヒグマと事故があり、この時期の事故件数は全体の1割程度を占めています。加害グマは母獣とオスの成獣でした。

冬眠しない個体もいます。冬眠しない個体については以下の記事を参照ください。

冬眠しないヒグマ?
ヒグマは冬期はエサがなくなるため、冬眠(冬ごもり)します。 しかしまれに冬眠しないヒグマもいます。どんなヒグマが冬眠しないのでしょ

ヒグマの冬ごもり(冬眠)

ヒグマが冬眠する理由は「冬は寒いから」ではなく、「冬はエサがなくなるから」です。
ヒグマには換毛があり、冬季には冬毛に換わり冬の北海道でも活動できます。

「冬眠」というよりむしろ全然起きています。

冬ごもりの間は何も食べず絶食状態で排泄もしません。
秋に溜め込んだ脂肪を消費して生きています。そのため冬眠明けのヒグマは痩せています。

冬眠中は体温が通常より4~5度下がり、心拍数も5分の1程度になります。
消費するカロリーは節約してますが、完全な冬眠ではないので消費はあるんですね。

ヒグマの冬ごもり期間

ヒグマの冬ごもり(冬眠)期間は個体やその年の積雪状況によって多少違いますが、早ければ11月下旬、遅くとも12月下旬には開始します。穴から出てくるのは早ければ3月中旬、遅くとも5月上旬には冬ごもりを終えるようです。

冬ごもりに入る時期は母グマは早めで、オスは遅いと言われています。
同様に母グマは冬ごもり明けも遅く、成獣のオスは早いと言われています。

ヒグマの冬ごもり場所

木の根や山の斜面に穴を掘って冬ごもりすることが多いようです。
そのため、雪が積もるとクマの巣穴を見つけにくくなります。
その穴に近づいて、穴から飛び出して来たクマに襲われることも。

穴はどこでもいいわけではなく、ヒグマが好む環境に作られます。
穴は自分で掘ったり、他のヒグマが掘った穴を再利用することも。
大きさはヒグマが一頭入れるくらいの大きさで、笹などを敷いてベッドを作るクマもいます。

妊娠しているメスは穴の中で出産し、当歳子(0歳)や1歳の子グマを連れた母グマは子と一緒に穴に入り冬ごもりします。穴の中まで一緒なんて本当に仲がいいですね。

ヒグマの年齢
ヒグマは何歳からおとな(成獣)なのでしょう? そして何歳くらいまで生きるのでしょうか? 長寿のヒグマは何歳まで生きたのでしょう?

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