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冬眠しないヒグマ?

冬眠しないヒグマ?

ヒグマは冬期はエサがなくなるため、冬眠(冬ごもり)します。
しかしまれに冬眠しないヒグマもいます。どんなヒグマが冬眠しないのでしょう?

道東では冬眠しないヒグマがいる?

道東などではエゾシカの生息数が多いため、冬眠(冬ごもり)をせずにエゾシカを捕食しながら越冬するオスのヒグマも出現しているそうです。

そもそもヒグマが冬眠をするのは冬期に十分なエネルギーを得られなくなるため。
エゾシカの急増でエゾシカを捕食しエネルギーを得て冬眠しないオスヒグマもいます。

2013年1月厚岸町では体長2.1メートル、体重430キロ、推定10歳の巨大なオスのヒグマが捕獲されました。このヒグマはヨシを集めてねぐらを作り、ねぐらを点々としながらエゾシカを捕食し食べていたそうです。
体長430キロというのは、最大級のヒグマ「北海太郎」級の重量ですね。

ヒグマの体長・体重・毛
「2mのヒグマ」という表現を報道で見ますが、どこからどこまでの長さでしょう? ヒグマの毛は茶色以外にも色があるのでしょうか? 目次

道東だけでなく他の地域でも痕跡が

道東だけではなく、道南や道央でも冬期(1月~3月)の痕跡が確認されています。
ヒグマの足跡の痕跡だけでなく、ヒグマ本体の目撃もあります。

旭川では2018年1月にヒグマの可能性がある足跡、ものを引きずったような跡、血痕が確認されました。そのほかにも足跡や目撃例も多くあります。

2018年3月に新ひだか町では、車の停車中にクマが突進してきて車が破損し、クマの血痕が付くという事件もありました。その後ヒグマは逃げて行ったそうです。

冬眠しないヒグマの目撃例

冬眠しないヒグマが毎年あちこちで目撃されています。

平成29年度の目撃例

以下はH29年度の冬期目撃例です。
足跡などの痕跡を含めると20件程度あるようです。

  1. 1/1(森町):車で走行中ヒグマを目撃
  2. 1/3(島牧村):シカ狩猟中ヒグマと遭遇し、捕獲
  3. 2/8(下川町):山林作業中(間伐作業)ヒグマ出現、逃走
  4. 2/9(上ノ国町):シカ狩猟中ヒグマ2頭を目撃
  5. 3/1(新ひだか町):ヒグマが車に突進した後逃亡

2020年度の目撃例

2020年度は雪が少なく、ドングリが豊富だったため冬眠しないヒグマが知床や網走で目撃。

  1. 1/11(網走):国道を横切るヒグマを目撃
  2. 1/14(斜里):クマが目撃、足跡も確認

雪が少ないと昨秋のドングリを掘り返しやすいよ

冬眠しないヒグマの事件

日本獣害史上最大の事件「苫前三毛別事件」の8人を殺害したヒグマは、最初11月初旬に民家にトウモロコシを食べるために現れ、更に11月20日に出現しそこでマタギ(狩猟者)に撃たれ手負いとなっています。当時のマタギ達はヒグマが巨体であるため「穴持たず」となり、冬眠できなかったのではないかと語っています。

実際のヒグマは体長2.5m、体重:340kg、推定年齢7~8歳のオスのヒグマでした。
体長2.5mというのはかなり大きいですね。
幻のヒグマと言われた最大級の北海太郎が2.45mなので。

冬眠前に十分な栄養を確保できていなかったのかもしれません。
そのため初めに民家にやって来てトウモロコシを食害したのでしょう。

冬眠前の栄養確保が不十分、巨体により「穴持たず」、手負いにされ狂暴化などの複合的要因により、この悲惨な事件が起こってしまったのではないでしょうか?

苫前三毛別ヒグマ事件
大正4(1915)年冬、開拓民を悲惨な嵐が襲った。 死者8名、負傷者2名。巨大熊による殺戮は、まさに羆の嵐。 この事件はわが国の獣

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