ヒグマの一生
ヒグマはどこで生まれ、どうやって育てられ、生き抜くのでしょう。
そして、どうやって死んでいくのでしょうか。
目次
ヒグマの出産
ヒグマは(冬眠)冬ごもりの間の1~2月に穴の中で出産します。
詳細は以下の記事を参照ください。
ヒグマの親ばなれ・独立
ヒグマは母のみで子を養育します。
そして約1年半~2年半の養育の後に自立します。
養育期間中に母親から生きる術を学び、自立後は一人で生きていかねばなりません。
それは若いクマにとって、とても厳しいものになります。
若いクマにはいろいろな試練が待ち受けています。
- エサ・縄張りの確保
- 他の個体との争い
- 人間の銃器と箱わな
まず一番大変なのは、エサを食べていくことです。
あの巨体を維持するためにはかなりの食料の量が必要になります。
冬ごもり前にも絶食にそなえて大量に食べなくてはなりません。
そういった理由からヒグマが食べ物に固執するのは仕方がないのかもしれません。
ヒグマにはヒグマを襲って食べるような肉食動物はいません。
しかし、オスグマは5歳(成獣)になれるのが半分未満と言われています。
エサの豊富な良い場所は強いオスに確保されているので、エサ探しに苦労するのです。
人間もヒグマにとっては強敵です。
有害駆除で仕掛けられた箱わなに関係のない個体がかかってしまうことも。
ヒグマの力関係や、社会に関する記事は以下をどうぞ。
ヒグマの繁殖・結婚
ヒグマは4歳くらいに性成熟し、繁殖が可能となります。
繁殖期は初夏の5月下旬~7月。
発情したオスがメスを求めて動き回ります。
ヒグマは毎年同じ相手と繁殖するわけではありません。
2018年は北海道から利尻島まで海を渡って婚活をしていたオスヒグマがいましたね。
素敵なメスヒグマは残念ながらおらず、割と早い段階で帰省したようです。
この時期は母グマにとって危険な時期で、発情したオスに我が子が殺されることも。
幼少期のクマにとっても最大の試練と言っても過言ではないでしょう。
親離れの年齢に達している子グマは母の発情期あたりから親離れが始まります。
ヒグマの寿命と最期
野生に生きているヒグマ達はどんな最期を迎えるのでしょうか。
ヒグマの寿命は20~30年といわれています。
しかし、すべてのヒグマがおとなになれるわけではありません。
子グマは発情期にはオスグマに狙われ、殺されることもあります。
エサ場を確保できない力の弱い個体も生き延びることができません。
ヒグマの死因
- 病死
- 事故
- 人間に射殺
- 餓死
- 共食い(他の個体に殺される)
事故や病死
落石等の事故で死亡することもありますが、自動車や列車との接触で死亡することも。
接触後、逃亡するものもあれば、接触し死んでしまうヒグマも。
乗用車と接触し車を凹ませるものもあれば、接触で死ぬヒグマもいます。
轢かれる個体は若グマや母グマに多いそうです。
若グマは道路や線路で遊んでいて、車や列車が来た際に道路や線路を走って逃げたりして轢かれ、母グマは子グマを守るために車に立ちはだかったりするそう。
銃器を持った人間だけでなく、車にも立ちはだかる母の愛は強いですね。
ヒグマにも病気はあります。虫歯から腫瘍まで。
腫瘍に冒され斃死しているヒグマも見受けられるそうです。
共食い
発情期のオスに母がつきまとわれて、子グマがオスグマに殺されてしまうことも。
オスに殺された子グマは食べられてしまいます。
ここでオスにひとこと言いたい。
あんたも母さんグマに命がけで守ってもらったんでしょ。
逆に母や兄弟が死んでしまった子グマを食べることも。
成獣同士が共食いすることもあります。
ヒグマの死骸を発見し食べたり、エサの取り合いの果てに相手を食べることも。
しかし、相手を食べようとして襲撃することは滅多にありません。
知床ではマスの遡上が遅れた際に、餓死したヒグマを他のヒグマが食べていたそうです。
子グマ以外にどんな個体が共食いされるのでしょう。
- 餓死・斃死したヒグマ
- クマ同士の不意の遭遇による闘争で殺される
- エサの取り合いによる闘争で殺される
上記の殺し合いの被害グマの一例ですが、14~17歳メス熊、5歳の母グマ、2歳のオスなど。
餓死したパンコ
知床でパンコの愛称で親しまれていたメスヒグマ。
顔周りの美しい金毛に目の周りの黒毛でパンダに似ていたのでパンコと名付けられました。
マスの遡上が遅れた2012年8月にルシャで骨が浮き出たやせ細った状態で目撃されました。
その数週間後、パンコは餓死した状態で発見されました。
この年はマスの遡上が遅れただけでなく、クマが8月に利用するハイマツの実なども不作。
エゾシカの急増もクマたちの飢餓の原因の一つになっています。
クマが7月に利用する草本をシカが食べてしまうのです。
パンコに限らず、エサの確保が不十分な若グマは命を落とすことも多いでしょう。
餓死したヒグマ以外にも飢えた状態で町にまぎれこんだクマもいました。
そういったクマは駆除されました。
しかし、パンコも、飢餓に苦しみ町に出てきたクマも、人を襲うことはありませんでした。
大人になれなかった若グマ 知床の兄弟
NHKスペシャルで特集されたヒグマの兄弟。
その末路は・・・二匹とも人間に捕殺されるという悲惨なもの。
親離れした若グマはエサの確保が難しく、結局人里付近にきてしまう。
そして捕殺されてしまう。若グマの厳しい現実です。
オスグマが5歳(おとな)になれる割合は半分未満と考えられているそう。
若グマのシロとクロの詳細は以下の記事から。
知床の王者オレンジの最期
劣位にある若グマが生き抜くのも大変ですが、強いオス個体はどうなるのでしょう。
良い餌場を確保し、森の奥に君臨する強いオスの成獣。
しかし、その末路は悲惨なものでした。
詳細は以下の記事から。
事故死や捕殺などは死にざまがわかりますが、それ以外は謎に包まれていますね。
老齢により劣位になったオレンジは人里に来ましたが、他のクマはどうなのでしょう。
最期ひっそりと森で息を引き取ったのでしょうか。