なぜヒグマは人を襲うか
ヒグマが人を襲うのには理由があります。
ほとんどのヒグマは人を襲うどころか、人間の存在を察知すると自ら去っていくのです。
目次
ヒグマはなぜ人を襲うの?
- 人間を食べるため[食害]
- 不意の遭遇に驚いて[遭遇]
- 母グマが子グマを守るため
- 人間が邪魔で排除するため[排除]
- 気が立っているため
- 力試しをする為
- 人間と遊ぼうとして[戯れ]
ヒグマが人を襲う主な理由
ヒグマが人を襲う理由は大きく分けて上記の7つです。
人間を食べるため[食害]
人間を食害するために近づいてくるクマは、人間を食料とみなしている危険なクマです。
何らかのきっかけで最初から人間を食べるために近づくことも。
他の理由(排除・戯れ)で人を襲っている最中に人を食べ物と見なす場合もあります。
人間を食害する目的のクマの存在自体はまれです。
しかし、このクマに襲われた場合やはり戦うことが必要だと思います。
クマ用スプレーやナタを携帯しましょう。
2013年3月にせたな町でクマに殺害された山菜採り女性は食害の跡がありました。
翌年同じ個体が山菜採りの男女を襲っております。
2013年の際は[排除]目的だったかもしれません。
2014年はおそらく[食害]目的で人を襲っています。
体長2m、体重230kg。7歳のオス♂の成獣でした。
もし襲われて食害されてしまう場合は、どこをヒグマに食べられるのでしょうか。
以下の記事には襲われた場合に攻撃される人体の部位、事例についても書いています。
不意の遭遇に驚いて[遭遇]
自分の存在をヒグマに知らせながら行動しないと、不意に遭遇する可能性があります。
人間がクマに会って驚くように、クマも驚きます。 びっくりついでに攻撃してくることも。
これを避けるために[鳴り物]などで音を出して行動すると良いと言われています。
普通のクマは音を聞きつけて、人と遭遇する前に自ら去って行きます。
人間がクマを怖がるようにクマも人間を怖がって、遭わないように避けているのです。
もし、偶然に遭遇してしまった場合、絶対に背中を見せて逃げてはいけません。
逃げたらクマにその気がなくても、本能で追っかけてきますので要注意。
母グマが子グマを守るため
母グマの許容できる範囲内に人間が入った場合、母グマが先制攻撃をしてくることも。
子グマを見たらかわいいからと言って絶対に近づいてはいけません。
子グマは好奇心旺盛なので母グマの言う事を聞かずに、人間に興味を示し近づいてくることもあります。子グマを見かけても近づかないでください。
愛らしい子グマの背後には体長2mの、人間を一撃で殺す母さんがいるかも。
母グマが襲ってくる場合は、人間との不意の[遭遇]が多いです。
そして、自分の子グマのそばから人間を[排除]しようとするのです。
音を出し人間の存在を知らせることで遭遇確率が減ります。[鳴り物]は携帯しましょう。
人間が邪魔で排除するため[排除]
これもよくあるパターンです。
人間の持っている食べ物を奪おうとして、人間を排除しようとしたり。
自分の餌場に人間が入ってきたため、人間を排除しようとします。
日高福岡大ワンゲル部の事件はこの目的で執拗に何度も襲撃されました。
ヒグマが一度自分の所有物と認識したものに対する執着心は凄まじいです。
春の山菜採りシーズンに起こる事故は不意の遭遇だけではなく、冬眠明けで飢餓状態のヒグマが自分の餌場を守るために攻撃してくることもあります。
人間の持っている食糧や人間の食害が目的であれば、音だけでは防げません。
鳴り物以外にも、[ナタ]や[スプレー]などの武器を携帯しましょう。
キャンプする際にもテントの中に食料を置かないなどの注意が必要です。
鹿の死体など見つけた際は、側にクマがいる可能性があります。
ヒグマの獲物を取ろうとしていると思われ、排除目的の攻撃を受ける可能性もあります。
ヒグマの足跡やフンを見た時も引き返した方が良いでしょう。
気が立っている為(主に若グマ)
これは2~4歳の若グマ(亜成獣)にまれに見られる傾向です。
親から自立して間もない若グマが自分の縄張りをまだ持っておらず、不安と空腹でイライラしていることもあります。
やはり遭遇しないように[鳴り物]で音を出して歩きましょう。
若グマとは別に人間に恨みを持って攻撃的なクマもいます。
猟師が撃ち損じたり、母グマの目の前で子を殺したり人間に恨みを持つ個体は凶暴化します。
苫前三毛別事件や札幌丘珠事件など多くの死者を出した加害グマは手負いでした。
力試しをする為(若グマ)
若いオスグマなどが、力試しのために人間を襲うことがまれにあります。
1999年木古内町の事故は、当時の新聞では原因がこのためではないかと言われていました。
最初の釣り人を襲った理由は[食害]目的であるとも言われています。
加害グマはオス♂2歳3ヶ月の若グマでした。
釣り人を殺害し食害後、このクマは二人の女性をも襲いました。
自分の食料(釣り人)を取られないよう、邪魔な人間を[排除]しようとしたのです。
人間と遊ぼうとして(若グマ)[戯れ]
いわゆる戯れやじゃれつきですね。これも若グマに多いです。
若グマは好奇心が強く、危険意識も成獣に比べると低いようです。
ヒグマにその気がなくても人が大ケガしてしまうこともありえます。
じゃれているうちに人間を食べ物とみなすこともありえます。
この場合は鳴り物では防げませんので、やはり[ナタ]等の武器の携帯が必要です。
2000年の事件で戯れ目的のヒグマを木の枝でつついて撃退しています。
イライラもじゃれつきも力試しも主に若グマが加害グマです。
人を襲うヒグマのグラフ
メスの方が多い結果となっておりますが、母グマが子を守るために襲うことが多いです。
全加害グマのうち母グマと判明しているものは3割理程度。
子グマを連れていたり、成獣と子グマの足跡が現場にあれば母グマと判断できます。
親離れして間もない不安定な若グマは3割以上を占めていますね。
すべてのヒグマがやみくもに人間を襲うわけではありません。
ではどんなタイプのヒグマが人間を襲うのでしょう。
ヒグマに襲われないために
対処法にも書いてありますが、簡単にまとめてみます。
- 不意の遭遇を防ぐために鳴り物を持つ⇒音を常に出すこと
- 単独で行動しないこと
- 子グマを見ても近づかないこと
- 薄暗い時間帯は行動しないこと
- ヒグマの足跡、フン、シカなどの死体を見たら引き返すこと
- ごみは持ち帰る。テントに食べ物を置かない。テントのそばで調理しない
とにかく不意の遭遇を避けるためには[鳴り物(鈴・ラジオなど)]を持つことです。
以下は札幌市が公開している鈴をつ人の気配を感じその場から立ち去るヒグマの様子です。
危険を察知したら引き返すことも大事です。
ヒグマの足跡、フン、シカの死体、子グマなどを見たら引き返しましょう。