日高福岡大ヒグマ事件
1970(昭和45)年に日高山脈カムイエクウチカウシ山で起こった事件。
登山に行った福岡大ワンダーフォーゲル部のパーティがヒグマと遭遇し襲撃された
5名中3名が亡くなっている。若い命が失われた悲しい事件である。
目次
日高福岡大ヒグマ事件の流れ
7月25日午後4時30分頃:ヒグマと遭遇
パーティは全部で5名。(A君・B君・C君・D君・E君)
日高山脈を縦走する計画で、カムイエクウチカウシ山にさしかかっていた。
5人は九の沢カールでテントを張っていた。
7月25日午後4時30分頃、A君がヒグマを発見。
クマは近づいてきて、テントの外に置いてあったザックをあさる。
クマの隙をついてザックをテントに入れた。
焚き火やラジオの音量など上げるとクマは30分後くらいに立ち去った。
7月25日午後9時頃:ヒグマまた出現
一度立ち去ったクマが同日午後9時頃またテント付近に出現。
眠っていたところ、テントに近づきテントに穴を開ける。
そして、また立ち去った。
7月26日午前4時半頃:テントを揺する
翌26日午前4時半頃、ヒグマがまた出現。
クマはテント内に入り込もうとし、人間とテントの引っ張り合いをする。
5分間ほど引っ張り合いをしていたが、テント内から脱出し40~50m先へ避難。
ヒグマはテントを倒し、テント内にあったザックをあばいていた。
クマが去った後、5人はテントやザックを回収した。
7月26日午後4時半頃:ヒグマ再び出現、テントから離れず
同日午後4時半頃、ヒグマが再びテントに近づいてきた。
全員テントから離れて、様子を伺っていた。
1時間半ほど見ていたが、ヒグマはテントから離れない
ついにテントを放棄し、山を下りだした。
7月26日午後4時半すぎ:クマついに襲いかかる(C君死亡)
山を下りている途中、最後尾であったB君の後方10m付近にクマが出現
全員で駆け下り、B君が横に逸れるとクマはそれに気づかずC君を襲った。
C君は悲鳴を上げ「畜生」と叫び、身を隠していたハイマツの中から飛び出した
駆け下りるている最中、ヒグマに背後から襲われ死亡した。
この際D君が他の3人とはぐれてしまった。
7月27日午前8時頃:A君クマに襲われる(A君死亡)
A君とB君とE君はその後、安全と思われる岩塊堆積地で一晩を過ごす。
襲われたC君は戻っては来なかった。
先ほどはぐれたD君も戻ってこなかった。
7月27日午前8時頃、A・B・E君の3名は山を下りていた。
先頭のA君の下方2,3m先にクマが出現。
身を伏せたがクマの唸り声でA君は立ち上りった。
そして、クマに追われながら下方へ走り去った。
A君も死亡している。
7月27日~7月28日:D君クマに襲われる(D君死亡)
仲間とはぐれたD君は一人でカールを下っていたが、途中でクマと遭遇。
クマが近寄ってきたので、石をぶつけた。クマは睨んでいたが立ち去った。
その後D君はテントを発見し、その中で27日午後3時すぎまで日記をつけていた。
翌朝テントから出ようとするが、まだクマがいて出られない。
その後、クマに襲われ死亡した。
7月27日午後1時頃:2人のみ生還
B君とE君のみ無事に生還した。
救助隊が救援に向かうが、既に3人は遺体となっていた。
その後加害グマは射殺される。
加害グマ
- 性別:メス
- 年齢:2歳6ヵ月齢
- 体長:131センチ
- 加害理由:人間の荷物が欲しいので、邪魔な人間をしようとした
※加害グマの剥製は中札内の日高山脈山岳センターにあるようです。
死者3名について
- A君:クマの唸りに走り去り、追いかけられ襲われる
- B君:ハイマツの中にいたがクマが接近したので走り去り、追いかけられ襲われる
- C君:仲間とはぐれ一人で行動していたが、クマに襲われる
事件場所
※事件場所は大まかな位置です。